仏教説話

仏教説話

『お釈迦様の誕生』

今から2500年前のことです。

インドのヒマラヤ山のふもとにカピラバスという美しく豊かな国がありました。

 

お城には情け深いスッドターナ王と優しいお妃のマーヤ様が住んでいました。

気立ての良い人びとは、お城を守りながら仲良く暮らしていました。

 

 ある日、マーヤ様は空から突然白い象が降りてきて体の中に入った夢をごらんになりました。

これは世界の人びとをお救いくださる尊い王子様がお生まれになるという夢のお告げでした。

 

 夢のお告げがあると、ヒマラヤ山からきれいな鳥が飛んできて楽しい歌を歌いました。

池の睡蓮(すいれん)も大きな花を咲かせて、みんなで王子様の誕生を待ちました。

                      

 春の初め48日に、マーヤ様は王子様の生まれるお仕度をするため故郷に向かっておでかけになりました。

その途中ルンビニーという公園でひと休みなさいました。

 

「まぁ、可愛い花…」と

マーヤ様が手を伸ばしてアソカの花を取ろうとされました。

すると……マーヤ様のお姿は、たちまちたくさんの花に囲まれてしまいました。

この時です。

マーヤ様の右の脇からかわいい王子様がお生まれになりました。

王子様は

「人びとの幸せのためにわたくしは生まれてきた」とおっしゃいました。

 

 空には七色の光が輝き、甘い良い香りの雨がぱらぱらと降ってきて王子様のお身体を洗いました。

 

 王子様お誕生の知らせに国中の人びとが喜びにわきあがりました。

 

 花の中でお生まれになったこの王子様こそ、後のお釈迦様です。

 

 現代もわたくしたちは毎年48日に華まつりをしてお釈迦様のお誕生をお祝いいたします。

 

                                  終わり